◇アイテム情報
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◇変遷してきて改まったところ ○林業は独立した産業として育成されて、大量植林により多くの木材が使えるようになった。
○伐採技術の機械化が進み、昔よりも短時間かつ肉体的負担が減った。 ○木材加工は、コンピュータによる設計と機械化により職人の腕によるばらつきが減った。 ○建築技術の合理化によって、比較的安価で短期間の工期で家が建つようになった。 ◇改まった部分の負の副産物○広葉樹林をつぶして針葉樹一辺倒とした大規模植林は、里山の風景を消し去り、麓の獣害が増え土砂崩れ
などの水害の多い山となってしまった。 (自然との対立の構図、不必要な公共工事や災害対策費といった税金が多く使われることにつながっていっ た。もともといた山師は日本中から姿を消し、政官業の癒着という違う意味での山師が増えてしまった) ○膨大なエネルギー消費を伴う高温木材乾燥技術によって環境負荷が増してしまい、天然乾燥技術を持っ た職人が次々に廃業へと追い込まれている。 ○高温乾燥技術は、木の持つ粘りや香りや気を飛ばしてしまい脆くしてしまうため、伝統工法の建築技術が 使えず伝承の機会を失うことに。 また、高温による化学反応を起こして自然界にない物質に木材が被爆してしまう。 ○高温乾燥釜によって得られる木材は1立方メートルあたり100kgの二酸化炭素を排出し、天然乾燥の場 合は16キログラムとなるので、ウッドマイルを考えても格段にエネルギー効率がよくない。 ○高温乾燥材はシロアリ被害を受けやすい実験結果がある。 ○接着剤を使ったラミネート材や集成材は、シックハウス症候群や化学物質過敏症といった環境病を誘発し てしまう。 ○コスト面での価格競争や産業形態や外圧等の要因で外国産材が大量輸入され、地方経済の衰退と過疎 化を進め不必要な箱物や土木工事が景観を破壊してしまう。 ○外材の大量輸入によって運ばれてくる外来種である松くい虫によって日本の松が絶滅が危惧されている。 ○海外で日本が買い付ける木材に端を発した森林破壊に反対する声が高まっており、日本の環境団体が海 外に出ると評価が低い要因ともなっている。 ◇功房伍が考える方向性 ―わたしたちみんなでできること―昔ながらの伝統や産業構造にすべてを戻すのは現実的ではありませんが、先人達の伝統を踏まえた上での、今の時代とこれからの時代を見据えた新しい伝統を築いていくことが今生きるわたしたちの世代の務めではないでしょうか。
今後のエネルギー消費や環境問題を考えた上で、天然乾燥の職人技術はますます不可欠となるでしょうし、自然の理にかなった伝統工法をベースとした長寿命住宅のあり方なども必要でしょう。また、三代先を見据えた地域経済を建て直していくという林業をベースとした地域産業構造を構築して、日本の美しい自然景観を守っていくことは、私達の世代に課せられた使命なのではないではないでしょうか。 ◇伝統工法と在来工法との違い在来工法とは、構造用金物を使って数値化され工学的力学的な見方をし、木の収縮のリスクを考え含水率をデータの上は下げます。構造のすべてが一箇所ずつデータ化され、そのこと自体は職人の能力によるバラつきを解消するとして注目され、伝統工法よりは簡素化された工程で建物を作ることが出来るようになり安価で建てる事が出来るようになりました。しかし一方のマイナス面として、人の気持ちや気遣いがこもらないこと、長年続いてきた伝統の技が失われていくこと、そして木の劣化よりも金属の劣化の方が遥かに短命であるために家の長持ちという点で劣ること、そして莫大なエネルギー消費を伴うということにより私たちはお勧めしておりません。刻みによる伝統工法では、熟練の職人が木の癖を読み複雑な組み合わせにより構造金物を使わずに『総持ち』と呼ばれる建物全体で地震や台風などの外力を受ける形となっています。伝統工法による日本家屋は現存する家屋を見ると明らかなように手入れをすれば数百年の風雪に耐え歴代の地震にも耐えてきました。家は完成してから、人の人生よりも長く存在していきます。次世代まで住み継ぐということも含めて考えていただきたいと思います。
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